母校 私が卒業した遊佐町立藤崎中学校は、 平成５年３月３１日に閉校した。 体育館は比較的新しく、地区の体育館として使用されているが、校舎はうち捨てられたままになってしまっている。 無造作に投げ捨てられた机、外れかけている黒板、割れた窓ガラス、教室の壁は蔦に占領されていた。 それはまるで、古い夢の残骸がうち捨てられているような悲しい光景であった。 傍らの石碑に校章と校歌が刻まれていた。 全て歴史の１ページとして封印されてしまったのだ。 もう、未来の子供達の誰一人として、この学校の校章を胸に付け、この学校の校歌を唱ってはくれない。 校舎の正面に整植されているポプラの葉だけが、あの遠い日々と同じように、サラサラと風に揺れていた。 帰り際に振り向くと、母校は田んぼの中にぽつんと取り残され、それはまるで、浜辺に打ち上げられ朽ちてゆく古船のような寂しさを漂わせているのであった。
	Nikon F801 　AF Nikkor 35-135�o 遊佐町藤崎　1999.6