野道の花火 雨上がりの野道を、五歳の息子と散歩した。 雑草しかない野道、子供にとっては退屈な時間、 と思ったが、以外にも楽しんでいる様子だ。 雨蛙を見つけて捕まえようとしたり、 まだ生まれたてのバッタの子供を追いかけたり、 シロツメクサの四つ葉を探してみたり・・・、 笹の葉の先っぽで笛をつくってやると、夢中になって吹き出した。 しばらく行くと、突然笹笛の演奏を止め駈けだした。 「お父さん、ほら、花火だよ」 彼が指さす向こうには、クサフジが溢れ出すように咲いていた。 野道に出来た大きな水たまりに、綺麗な紫色がこぼれ落ちていきそうなその様子は、本当に花火のように綺麗だったのである。
	Nikon F80　TAMRON SP90�o macro soft 遊佐町庄泉　2003.5