冬景色 子供の頃、家で子犬を飼っていた。 事故で亡くなってからすでに３０年以上も立つのに、いまだに思い出すことがある。 尖った鼻の感触、柔らかなお腹の感触、ピンと立ったシッポの感触、イタズラで軽く手を咬んだ時の感触・・・。決して強く咬まない優しい子犬であった。 その温かさの全てを憶えている。 私は思う。 子犬はあの時からずっと私の一部なのだと。 私の優しさは、私を決して強く咬まない子犬の優しさなのだと。 私の勇気は、小さな躰を振るわせて吠えた子犬の凛々しさなのだと。 過ごした日々は一瞬だった。でも、永遠に忘れることはない。 一瞬は、永遠なのだ。
	Nikon F80 AF Nikkor ED70-300�o 遊佐町中山　2004.2