杭掛けの風景 稲を乾燥させるための杭掛け(くいがけ)は、 最近では見ることが少なくなった。 小学生の頃、 父親に命じられて杭を畦に差したことがあった。 子供の私が差したその杭は、ぐらぐらして使い物にならなかった。 父は片手でひょいと引き抜き、勢いをつけて差し、さらにぐっと腰を落としぐいぐいと差し込んだ。 父が差した杭は手で揺すっても全く動かなかった。 あの時の固く差された杭の感触は、父親の強さの象徴のように、今でも私の手の中に残っている。 あの時私は、父のように強くなりたい、と思った。
	Nikon F80 　 　AF Nikkor 24-85�o 　山形県遊佐町広野　2002.9