どんぐりの季節 子供の頃、近くの雑木林でどんぐり集めをした。 コナラの木の下に、それはいっぱい落ちていて、 まるで宝物でも集めるように、 息せき切ってポケット一杯に詰め込んだ。 友達と集めた数を競い合い、 日暮れまで林を彷徨い、 家に帰ると、おもいっきり叱られた。 いま、どんぐりを手に取る。 叱られるのを覚悟して集めた宝物の感触に、 あの頃の夢中だった日々が、風のように蘇る。 「はえぐかえてこーい」　 (早く帰って来なさーい) 雑木林に差し込む、 夕暮れ時の日差しの向こうから、 幼い頃の母の呼ぶ声が、聞こえた。
	Nikon F80 　AF Nikkor 24-85�o 酒田市宮海　2001.10